高蒔絵箱「月影冴ゆる」 タカマキエハコ「ツキカゲサユル」
- 漆芸
- 2021年発表
- 高さ14.9 x 幅35.7 x 奥行12.5 cm
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冬の月に照らされた木立のシルエットと雪景を表現しました。
冴(さ)ゆる、は寒さで大気が澄み切って透き通り極まったという、感覚的な意味合いを持った冬の季語です。
冬の夜の景色を具象と抽象の間を行き来するようなデザインを心がけて制作しました。
作品の蓋甲面は黒漆塗を活かして余白を取り、際に少し微塵貝や金を蒔き、星空を表しました。
側面には木立を高蒔絵の手法で盛り上げ、樹間から光り輝く月を金平文で表現し、
また積雪した木々や大地の景色を、白金粉を基調にした落ち着いたモノトーンの色彩で表現しました。
蓋を開けると身の立ち上がりには早春を告げる雪割草を描きました。
内側と底には青漆の変塗を施し、螺鈿や金で星空を表現しました。
分野 | 漆芸 |
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発表年 | 2021 |
サイズ | 高さ14.9 x 幅35.7 x 奥行12.5 cm |
材質 | 白金、金、微塵貝、乾漆粉、顔料、乾漆(一部木胎) |
展覧会 | 第68回 日本伝統工芸展 |
サイン | 箱、作品サイン有 |
備考 | 箱付き |
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乾漆
粘土で形を作り、その形を石こうで型にします。型に麻布を必要とする厚さに漆で貼り重ねて、型からはずして形を作ります。その後、さらに漆を塗って仕上げます。
麻の繊維は漆がしみこむと強くなるので、丈夫で自由な形を作るのに適しています。
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蒔絵
蒔絵は日本独自に発達した漆芸の代表的な技法で1200年ほど前から行われています。器の表面に細い筆を使って漆で絵を描き、その漆が固まらないうちに上から金の粉を蒔きつけて模様をあらわします。
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平文
金や銀などの金属を、薄い板にのばしてからいろいろな形に切りぬいて模様をつける技法を平文と呼びます。
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螺鈿
螺鈿はアワビや夜光貝、白蝶貝などの貝がらの輝いた部分をうすくして使います。「螺」は巻き貝をさし、「鈿」にはかざるという意味があります。螺鈿は、1300年ほど前に中国大陸から伝わった技法で正倉院の宝物にも見ることができます。
鬼平 慶司 Keiji Onihira
蒔絵の技法は多岐にわたり 貴重な漆・金粉・螺鈿など さまざまの漆芸材料・技法を駆使して 創作表現をしています。 新しい漆・顔料などが開発されている近年、新しい技術を取り入れ 活かしてこそ 次の伝統に繋がるとの思いを強くしております。 工芸意匠を創作の基本に 作品の世界観や雰囲気を大切にして さまざまなモチーフやテーマを意欲的に制作していきたいと思っています。