人形の説明

人形の歴史は古くは土偶や埴輪に始まり、やがてそれぞれの国や地域ごとの文化や特色をいかして伝わってきました。
人形はもととなる形をつくり衣装を着せ、顔を描くという工程で作られます。人形の体全体は桐の材木や、桐の木の粉とのりを混ぜた桐塑とよばれる粘土状のもの、和紙を何枚もはり合わせたもの、陶芸で使う粘土などを原料に作られます。体となる部分ができあがったら、胡粉を塗って表面を整え、布や紙を着せ、彩色して仕上げます。

技法紹介

木彫人形(もくちょうにんぎょう)

木彫人形は、桐の木を頭・胴体・手足に分けて彫り、竹でできたクギを使って組み合わせて作ります。桐は樹脂が少ないので虫がつきにくく、軽くて丈夫で変形しにくく、人形づくりに大変適した素材です。

写真:木彫人形(もくちょうにんぎょう)

桐塑人形(とうそにんぎょう)

桐塑人形は、桐塑という桐の木の粉に、のりを混ぜて粘土状にしたものを桐の木の芯につけて形を作ります。また、やわらかいうちは自由自在に形を変えることができるので、いろいろな形を作ることができます。後で形にくるいが出ないように、よく乾燥させることが大切です。

写真:桐塑人形(とうそにんぎょう)

張抜人形(はりぬきにんぎょう)

張抜人形には、内張りと外張りの二種類の作りかたがあります。内張りの方法は、まず粘土で形を作り、石こうで型をとります。型の内側に和紙をはり重ねて、乾いたら型から抜き取り、桐塑などでさらに形を整えます。その上に胡粉を塗り、絵の具で色をつけたり布や和紙をはって仕上げます。また、外張りは木型の外側に紙をはり重ねて作ります。

写真:張抜人形(はりぬきにんぎょう)

陶胎人形(とうたいにんぎょう)

陶芸で使う粘土で形をつくり、窯で焼くやきものの人形です。まず、粘土で形をつくり、半分に割って1センチくらいの厚みをのこして中身を取り出します。2つを元の形にもどして整え、よく乾かして窯で焼きます。素焼の上に彩色して仕上げたり、細工をしてさらに高温で焼く方法もあります。石こうで型をとれば、同じ形の人形を作ることができます。

写真:陶胎人形(とうたいにんぎょう)

装飾技法

出典: 「伝統工芸ってなに?-見る・知る・楽しむガイドブックー」公益社団法人日本工芸会東日本支部編・芸艸堂発行