鬼平 慶司

大和玉虫文蒔絵合子 ヤマトタマムシモンマキエゴウス

  • 漆芸
  • 2021年発表
  • 高さ10.6 x 幅22 x 奥行22 cm
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大和玉虫は細長い米型の甲虫で、全体に緑色の金属光沢があり、背中に虹のような赤と緑の縦縞が入る美しい昆虫です。
天敵である鳥は、「色が変わる物」を怖がる性質があるため、この虫が持つ金属光沢は鳥を寄せ付けないと言われています。
エノキやケヤキなどの広葉樹の上を昼に飛び(成虫の餌はケヤキなどニレ科植物の葉である)、夜間は葉の裏でじっとしています。
幼虫は枯れ木の材に潜り込み、それを餌として生活する。日差しの強いときに飛翔、よく活動します。
エノキやケヤキ、槇などの高所の幹をのこぎりで挽くとその香りを求めて切り口付近にはよく集まり。
一方で垣根の乾燥した竹や一本だけ突き出た枯れ枝で日光浴する個体もよく見かけるが警戒心が強く、近づくとぴたりと動きを止め、
更に近づくと飛び去ったり、茂みに落下したりして姿を消します。
鞘翅は、死んでも色が変わらないので、法隆寺宝物「玉虫厨子」の装飾として使われています。

この作品は大和玉虫の食べるエノキの葉や花実を、伝統の吉祥文様である「七宝繋文」に見立ててデザインしました。
大和玉虫は高上げし玉虫貝螺鈿技法で表現しました。背景はパラジウムと銀の合金粉地です、

昔から大和玉虫の鞘翅を箪笥に入れておくと着物が増える、ということが言われていました。
幸せを呼ぶ玉虫の箱として慈しんで頂ければ嬉しく思います。

分野 漆芸
発表年 2021
サイズ 高さ10.6 x 幅22 x 奥行22 cm
材質 乾漆(一部木胎)、パラジウム銀、金、玉虫貝、顔料
展覧会 第38回日本伝統漆芸展
サイン 箱、作品サイン有
備考 箱付き

鬼平 慶司 Keiji Onihira

写真:鬼平 慶司

蒔絵の技法は多岐にわたり 貴重な漆・金粉・螺鈿など さまざまの漆芸材料・技法を駆使して 創作表現をしています。 新しい漆・顔料などが開発されている近年、新しい技術を取り入れ 活かしてこそ 次の伝統に繋がるとの思いを強くしております。 工芸意匠を創作の基本に 作品の世界観や雰囲気を大切にして さまざまなモチーフやテーマを意欲的に制作していきたいと思っています。