欅拭漆花形盛器 けやきふきうるしはながたもりき
- 木竹工
- 2017年発表
- 高さ3.6 x 幅38.9 x 奥行37.9 cm
-
¥550,000
ギャラリージャパンでの作品の価格は、作家が自ら決めた価格をそのまま掲載しています。
-
近代絵画の父ポール・セザンヌは、自然に倣って絵を描くとき、感覚を(サンサシオン)実現を(レアリゼ)、そして感覚の実現を(レアリザシオン)することをスローガンにしました。
樹木において感覚とは、地から水を吸い上げ樹幹・枝葉を環って蒸散し天に昇り、入道雲や暁に映える雲になって美しい大自然を創ります。この現象が人間の意志の及ばない自然の意志によって創られた感覚なのです。このような感覚を生活の中に取り入れて、実現しようと再現しました。
作品が完成してみると西遊記の3000年に一度咲く花と想うものが、葦原の中つ国で咲くことが出来ました。この果実は人参果といって、匂いをかぐだけで360才まで、1つ食べれば47000年も長生き出来るそうです。
分野 | 木竹工 |
---|---|
発表年 | 2017 |
サイズ | 高さ3.6 x 幅38.9 x 奥行37.9 cm |
材質 | 欅・日本産漆(浄法寺) |
展覧会 | 第16回伝統工芸木竹展 |
サイン | 作品サイン有 |
取り扱い方法 | 柔らかい綿布でお手入れお願いします。 |
森田 崇夫 Takao Morita
![写真:森田 崇夫](https://kougeifs.galleryjapan.com/files/galleryjapan/creator/11549_f92dc20f68c626397fafb1d12f781239.jpg)
作品は主に刳物と指物です。刳物は木材の塊を鑿(ノミ)・豆鉋・彫刻刀等で刳り込み器物・箱などを彫刻的に造形して、自由な形を作れるところが魅力的な方法です。指物は、基本的な接合法として矧手・端喰・留・組手などがあります。これらの技で、机・棚等の大きな物や箱など用途に合った形状に作る方法です。これらの技法を用いて木地を作り、拭漆を施します。仕上がった作品は伝統的技法を用いることによって、民芸を趣向したものになります。 民芸運動の提唱者・柳宗悦は、李朝の美を見い出しました。華奢で均整のとれた優美な姿の李朝家具は、京都の冷泉家等の王朝文化と趣きを共通する感じがあります。木工芸家の黒田辰秋が、李朝を敬愛し日本的なものに昇華したことは理に適った自然なことだったのだろう。黒田辰秋の系譜がこの地で愛されたのも頷けることです。 どこまでも続く森々とした山間を進み開けた盆地に飛騨高山があります。時代が巻き戻されたかのように、時間がゆっくりと流れています。小京都といわれる町並みには、茶色く黒光りした漆塗りの大黒柱と梁と束を堅固に組み上げた立体格子の吉島家住宅があり、内蔵した和箪笥が日本の家具の原点として蘇りました。 学ぶために訪れた地とは今、仕事をするために大切で、見て学んだ事と自分自身の思考を円融し作品に仕上げて行きます。これらのことが作風となって行くのだと思います。そして、この自分自身の思考とはどういうことかと言いますと、「百川海を学びて海に至る」といいますが、弘誓の智海によれば、「無量寿仏のその道場樹は高さ四百万里その本の周囲五十由旬なり。枝葉四に布けること二十万里なり。」とあります。かの『西遊記』の三蔵法師が天竺へ経典を得に往ったように、この大樹へ智慧の旅をして木工道がどういうものか、あるいは大成しようとするものです。 木工芸品が完成するまでの動きのある手技は無形なものですが、結果としての作品の形に言葉で表現しても表現しきれない事や想いはかることができない不可思議が顕れることを目指しています。