人間国宝(重要無形文化財保持者) 土屋 順紀 ツチヤ ヨシノリ
- 染織
- 1954 -

紋紗(もんしゃ)の織製では、四枚の綜絖(そうこう)と一枚の振綜(ふるえ)を取り付けた足踏み式の織機を使う。その紋紗は、経糸二本を搦めて紗の地を組織し、続けて平織に変えながら、霰模様、石畳模様などを織り出すものである。
制作は紋紗の他、生絹、紬と多彩である。精錬した熟絹と対照的な生絹は、紗に似た古典的な絹織物で『源氏物語』の「空蝉」にも「生絹なる単衣」とある。使用する糸も未精錬の生糸で、シャリ感のある手触りの良さが生かされている。紋紗に併用される絣は、染め分けた絣の足をずらせたものである。
明るく艶やかな彩りを齎す植物染や、経絣による熨斗目模様風の段々暈しの柄を融合させた作品などは、正倉院宝物や公家装束のイメージとは幾分異なる。蜻蛉の羽のように透き通った生糸の美しさをたたえる作品などは、現代の息吹を感じさせながら、紋紗の未来を語る爽やかな仕事と言えよう。
所属 | 日本工芸会正会員 (公社)日本工芸会 常任理事 染織部会長 |
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ステータス | 人間国宝(重要無形文化財「紋紗 」の保持者) |
- 1954 岐阜県関市に生まれる
- 1978 京都インターナショナル美術専門学校テキスタイル科卒業
- 1978 志村ふくみ(人間国宝)に師事
- 1994 第41回日本伝統工芸展初入選
- 1996 重要無形文化財「羅」伝承者養成研修に参加
北村武資(人間国宝)に師事 - 1997 日本工芸会正会員に認定
- 1999 日本の工芸「今」100選展(パリ三越エトワールNHK主催)
- 2000 第37回日本伝統工芸染織展 鑑審査委員
- 2001 現代の布 - 染と織の造形思考展 招待出品(東京国立近代美術館工芸館)
- 2003 日本伝統工芸50年記念展「わざの美」招待作品(日本橋三越本店)
- 2005 織りの挑戦者たち - 北村武資とうすはたの会展(ロンドン・ダイワ・ジャパンハウス大和日英基金)
- 2006 花より工芸展(国立近代美術館工芸館 所蔵作品展)
- 2007 第54回日本伝統工芸展 鑑査委員(2009年、2011年 以降毎年)
- 2008 きものの輝き/漆・木・竹工芸の美(東京国立近代美術館工芸館 所蔵作品展)
- 2009 紫綬褒章受章
個展 土屋順紀染織展 - 美濃の四季、彩を織る - (銀座和光並木ホール) - 2010 重要無形文化財「紋紗」保持者に認定
- 2011 個展「人間国宝 土屋順紀 紋紗-美濃を織る」展(関市立篠田桃紅美術空間)
- 2012 岐阜、染と織の匠たち 人間国宝三人展(岐阜県博物館)
- 2013 第2回金沢・世界工芸トリエンナーレ 工芸におけるリージョナルなもの(金沢21世紀美術館)
工芸からKOGEIへ(東京国立近代美術館工芸館) - 2014 人間国宝の現在(いま)展(東京国立博物館)
- 2020 特別展 きもの KIMONO(東京国立博物館)
工藝2020 自然と美のかたち(東京国立博物館表慶館)
- 1989第11回東海伝統工芸展にて東海伝統工芸展賞受賞(紬織着物「流」)
- 1993第24回東海伝統工芸展にて愛知県知事賞受賞(紬織着物「初川」)
- 1995第26回東海伝統工芸展にて愛知県知事賞(生絹着物「水月」)
- 1996第43回日本伝統工芸展にて日本工芸会総裁賞(生絹着物「鮎の瀬」)
岐阜県民栄誉賞 - 1997第28回東海伝統工芸展にて東海伝統工芸展賞(紬織着物「翠露」)
- 1998岐阜県芸術文化活動等特別奨励
- 1999第36回日本伝統工芸染織展にて日本工芸会賞(紋紗着尺「夏川」)
- 2002関市民特別奨励賞
- 2006第53回日本工芸伝統展にて文部科学大臣賞(紋紗着物「月下渓韻)
岐阜県芸術文化奨励
- 東京国立博物館
- 東京国立近代美術館
- 東京家政大学博物館
- 岐阜県美術館
- 文化庁
- ヴィクトリア&アルバート美術館
- (財)日本伝承染織振興会
- 神宮美術館
- 法相宗大本山 薬師寺
- ボストン美術館
おおよその価格帯
¥ 1,000,000 - 5,000,000
ギャラリージャパンでの作品の価格は、作家が自ら決めた価格をそのまま掲載しています。
掲載作品 13 件