珊瑚樹 戸棚
さんごじゅ とだな 高さ 78 x 幅 105 x 奥行 39 cm / 2019年岡田 勝之 (おかだ かつゆき)
1943 -- 木竹工
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作品について
「何百年も前からここにある」と言われても全く遜色ない、アンティーク色のシックな戸棚です。
珊瑚樹という木をご存知でしょうか。
おそらく名前は知らなくても、見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。公園や生垣などによく植えられています。実はこの木は非常に水分を多く含んで燃えにくいため、「防火樹」として火災の延焼を防いでくれるという有用樹なのです。
ただこの木ですが、木材商から入手したのではありません。たまたま縁があり引き取ったのですが、材木商ですら知らない木材をどうやって使うかが難題でした。
紆余曲折を経て、今回このような作品となりましたが驚きでした。
まったく他の木にはない、派手さがなく、シックでアンティークな色合いに、です。
正直、何色と言っていいのか分かりません。光源が変わると色が全く違って見えるので、写真でも一定しないからです。
また、樹皮が荒いこともあって、ランダムに杢(もく:木目の美しい種類)のようなスポット模様が現れており、不思議な美しさがあります。
前面の扉は、木の木目を活かしてあえて真っ直ぐにせず、沿わせた使い方をしています。また、内側の棚は取り外しが可能となっています。
脚の形は前と後ろで変えています。
扉下部分の宝石のような細工ですが、赤は「ブビンガ」、茶は「朴の木(玉杢:たまもく)」を使用しています。これは一切着色をしておりません。
金具ですが、中心部の鍵穴は古い時代のものを使い、鍵は友人の金工師(美術館の補修もされておられます)に似た成分のもので製作していただきました。
また、蝶番は鍵を作っていただいた金工師の祖父(同じく有名な金工師)が、生前に作っておられたものをわざわざ分けていただき、使用しています。
戦前、あるいは江戸時代などの昔の金具は、現代の鉄とは全く成分が違い、非常にしっとりとした黒さが特徴です。現代の市販の金具では、この色の表現はできないそうです。
和なのか洋なのか、はたまた現代のものなのに何故か過去の色合い。
そんなファンタジーな世界の作品です。
なお、昔ながらの指物の技術を使用しておりますので、蝶番および留め具の部分以外の金物は一切使用しておりません。また、着色も一切しておらず、無垢のままです。
作品詳細
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分野木竹工
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材質珊瑚樹、桐、鉄
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サイズ高さ 78 x 幅 105 x 奥行 39 cm
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発表年2019
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取り扱い方法透明な塗装加工を行っておりますので、防水性がございます。
ただし、急な加熱(エアコン直下の設置や、熱したやかんや鉄瓶等の設置)や、鋭い刃物等の使用、ハンマーなどの衝撃により、本体の木材に悪影響を及ぼし破損の原因となります。また、薬品(マニュキュアなど)で塗装が剥がれ落ちることがあります。
等々、ご注意くださいませ。
なお、木材は加工後も水分を吸収・排出するため運ぶ地域によって膨張・収縮が起こります。例えば、山陽地方から山陰地方間の移動でも湿気の割合が変わるため、ひずみが発生します。
僅かなひずみですが、これにより家具のmmレベルでの調整部分に不具合が発生します。
これは木であるが故に発生することですので、どうぞご承知おきください。
なお、何かありましたら遠慮なくご連絡いただければと思います。
この作品の技法
指物 (さしもの)
木目の組み合わせを考えて、木を正確に切ることが第一歩です。木を削ったり彫ったりして、つぎ手と呼ばれる凸と凹の部材をつくり、それらを直角に組み合わせて箱などの作品をつくります。金属のクギなどを使わないで組み立てることが、指物(さしもの)の特徴です。
オーダー制作、購入可能な作品など、お気軽にお問合せください