作品について
柿の古木には、稀に黒い模様が現れることがあります。
これは黒柿と呼ばれています。
日本の樹は外国の樹と比べて成長が遅いものが多く、柿も例外ではありません。
また、日本人には馴染みの深い木なのですが、木材として利用可能な大きさになること自体あまりありません。さらに、たとえ黒い模様が出たとしても、この作品のように全面にわたって模様が出ること自体が非常に稀なのです。
そんな黒柿の戸棚ですが、初見はとてもインパクトがあります。
ですが、写真ではわかりづらいのですが、実物は墨絵のような色合いで、非常に深い味わいを見せてくれる作品となっています。
こちらは、蝶番および留め具の部分以外、金物は一切使用しておりません。
また、扉に用いている古い時代の蝶番は、現代のものとは色も質感も全く異なり、非常にしっとりとした黒さが特徴です。
こちらは、友人の金工師(美術館の補修もされておられます)に助言を受け、丁寧に補修・仕上げを行いました。
写真に撮り切れない細部の細工もさながら、扉を開けてた裏までも黒柿の模様が楽しめる、今後、まず国内でも出てくることはない希少価値の高い作品かと思います。
作品詳細
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分野木竹工
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材質黒柿
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サイズ高さ 81 x 幅 96 x 奥行 39 cm
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発表年2018
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取り扱い方法透明な塗装加工を行っておりますので、防水性がございます。
ただし、急な加熱(エアコン直下の設置や、熱したやかんや鉄瓶等の設置)や、鋭い刃物等の使用、ハンマーなどの衝撃により、本体の木材に悪影響を及ぼし破損の原因となります。また、薬品(マニュキュアなど)で塗装が剥がれ落ちることがあります。
等々、ご注意くださいませ。
この作品の技法
指物 (さしもの)
木目の組み合わせを考えて、木を正確に切ることが第一歩です。木を削ったり彫ったりして、つぎ手と呼ばれる凸と凹の部材をつくり、それらを直角に組み合わせて箱などの作品をつくります。金属のクギなどを使わないで組み立てることが、指物(さしもの)の特徴です。
