コロナ禍で、仕事が減った頃、一年目は子供と過ごす時間が増えたと喜んでいたのですが、二年目に入り、さすがに何かしたいと思い、作品を作ることにしました。今までと少し違う雰囲気の作品です。キャンプを始めた頃に行った浜で、偶然に見つけたアオイガイの貝殻。子供達が海の塩で体が痛いと言い始めて、この貝殻を拾ったことを忘れ、釣った魚たちと一緒に海に流してしまいました。それが惜しくて惜しくて。。。!!でも、やっぱり、貝殻とかを眺めていると、生き物の形が美しく、面白く、楽しい。その気持ちを再確認し、初めて作った作品です。題名は「月夜の浜辺」です。中原中也の詩からお借りしました。この詩を読んで、浜辺に転がっているボタンを拾う気持ちがなんだかとてもわかるような気がしたのです。本体は、シンプルな形ではあるのですが、中子を銀でぴったりに作ってはめるということに挑戦しました。黄銅で作った蓋に、アオイガイの形を抜き、同じ形に抜いた銀をろう付けでつけています。外側から金鎚で凹凸を出しつつ、中からタガネでつき模様を入れています。
分野 | 金工 |
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発表年 | 2021 |
サイズ | 高さ6.0 / 径15.0 cm |
展覧会 | 第49回伝統工芸日本金工展 |
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鍛金
木台の凹部の上で、板状の金属を木づちでたたいて曲げます。そのあと当金といういろいろな形の鉄の棒を木台にさし、だんだんと形を作ります。ひとつの作品ができあがるまでには何万回もたたきます。
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接合せ・矧合せ(はぎあわせ)
矧合せとも書き、パッチワークやストライプのように、違う金属の板をくっつけてたたき、形をつくります。